アーカイブ | 2019年8月18日

脱ステ超お役立ち情報 - その13(脱保湿の原則をそれていい状態とは?)


温暖湿潤気候・・・・なんて、昔学校で教わりましたが、

日本は夏は暑く、場所によってはトロピカル状態、

そして、冬は寒く、唇が紫になりそうな気候を乗り越えることもある私たち・・・・。(笑)

 

特に皮膚炎は気候になんとも影響されがちなので、

全国津々浦々、悪化と戦うみなさんの声が今日もたくさん届いてますよー。

でも、阪南中央病院佐藤健二先生と入院患者さんの学習会情報も届きましたよー。

 

よ・・・喜び過ぎ?

 

いや~~~~、ありがたいことですね。

とってもためになるこのコーナー、読者さんに大好評なんですよー。

 

それでは、いつものように、みなさん、声をそろえて言ってみましょう~~~!

教えて佐藤センセイ~~~~~!💖」

 

 

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(佐藤健二先生・談)

 

脱保湿の原則を逸脱しなければならない時

 

脱保湿の徹底は必須だが

 

ちょっとむずかしい話かもしれない。

今日は脱ステロイド・脱保湿の最中ではあっても

脱保湿の原則を逸脱しなければならない時 についてお話する。

 

そういう状況はいくつか挙げられる。

たとえば、掻き壊しで手が痛い時に、木綿の手袋をすると

痛みはましになるけれど、当然保湿になるよね。

とはいえ、痛みが抑えられるならば、どちらを選ぶべきだろうか。

 

答えはそのときの病気の状態によるということ。

もし、痛みをもたらす亀裂を治さないと運動もできずまったく先に進めないということであるならば、

手袋をして保湿をして少し状態をよくしたあとで手袋をやめて、改めて脱保湿を再開すればいい。

 

 

就寝時に手袋を使うこと

 

ただし、手袋をすると別の問題もありえることだけは指摘しておきたい。

夜の就寝時に手袋をしていると、からだを掻くときに爪で掻かないから、

傷がつきにくくてよいのではないかと考える人もいるようだ。

ところが、二つの可能性がある。

ひとつは、この予想のように傷がつきにくくてよくなる場合もある

だがもうひとつ、布で体を掻くことで

爪で掻くよりも広範囲の非常に治りにくい傷になる可能性もある。

どちらになるかは患者のみなさん自身が試みないとわからない。

ある種の賭けともいえる。

 

 

ガーゼによる傷の保護

 

体を掻いて傷口がびらん糜爛面になり、

(**皮膚や粘膜あるいは角膜の上皮が欠損して限局的に消失した状態。いわゆる ”ただれている” 状態)

ちょろちょろと滲出している場合には、傷口にガーゼを貼るかなり痛みが減る

傷口にガーゼを貼るというのも、もちろん保湿行為になる

けれども、ガーゼを貼れば痛みを抑えることができて動くことができるというのであれば、

どちらを優先すべきだろうか。

 

保湿になるのが困ると考えて、痛みを我慢してでもガーゼを使わないでいるべきか、

保湿になってでも痛みを抑えたいと思うか。

おそらくは、大多数のひとは後者の、痛みを抑えてでも体が動かせるようになる方がいいと考えるのではないか。

 

火傷などで生じたびらん面の場合などにはウェットドレッシング法(湿潤療法)といって、

傷口を湿らせた方が保湿にはなっても下の皮膚がよくなりやすいという場合もある。

そんなときには傷口を湿らせる。

 

湿らせるには滲出液の出たところにガーゼを当ててガーゼでかさぶたを人工的に作る

そうすると傷口に新たにできてくる皮膚を保護することができるので、

実際には保湿にはなっているけれど、新たにできる皮膚を成長させるために、

あえて保湿をするというわけだ。

こういう例もあるから「保湿をしないこと」にあまりこだわりすぎないこと

 

 

水分摂取制限を中止すべき場合

 

新版『患者に学んだ成人型アトピー治療』― 難治化アトピー皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法 (つげ書房新社)

非常に離脱症状が重症な場合ではあるが、

全身が紅皮症の状態で真っ赤になっていて、

全身から滲出しているような場合にはものすごくのどが渇く。

こういう場合に細菌感染を起こすと38℃を越える高い熱が出ることがある。

そういう場合に限って水分摂取制限はしないでいいと、

私の本 新版:患者に学んだ成人型アトピー治療 にも書いてあるし、

みなさんに説明しているはずだ。

 

水分摂取制限をしないということは当然、脱保湿の原則から逸脱することになる。

だが、発熱が起きている場合にはその人の体全体から、

水蒸気になって水分はどんどん出ていて

それがどれだけの量なのかはわからない

だから、この場合はやむを得ない。

脱水状態になって非常につらく危険になるよりも、それを避けるためには本人が希望するだけ水分を摂取してもらう。

これも「脱保湿の原則からの逸脱」とはいえ、納得できることだと思う。

 

 

離脱開始のいちばん最初期

 

経験したことのある人は多いと思うが、

離脱開始の初期に非常に重症の人は、

布団の中に入りっぱなしになるかもしれない。

痛くて布団から出られないためだ。

これは強烈な保湿行為ではあるけれど、

入院当初の数日から一週間くらいの間は、

患者の体力自体もものすごく落ちているだろう。

そういう時は、患者の尻を叩いて無理に運動をさせるよりも、

じっと安静にしているほうが、結果として早く治るということはある。

 

だから、離脱のごく初期に全身が紅皮症の状態で滲出している時や、高熱が出ているという場合だけには、

患者を安静にさせることもあるし水分摂取制限も行わない。

脱水症状によるいろいろな問題を解決するひとつの方法だ。

 

 

シャワーについて

 

冬にはできるだけ、長い時間の入浴やシャワーは避けるようにみなさんに言っている。

では、夏の暑い時期に汗をたくさんかいた場合にはどうすればいいかと、

しばしば尋ねられる。

私の本には「一日に一度の入浴+水のシャワーを浴びるだけ」ならいい、

と説明している。

実際に、大量の汗をかいた場合には皮膚の表面にばい菌が増えやすい

ということはあるので、

汗をたくさんかいた場合には、水のシャワーをさっと短時間に浴びるのだけはいいだろう。

 

ただし、これは入院中には認めていない。

病院で一日に2回シャワーを使っていいという風にすると、

みなさんが一日の行動予定を立てづらくなるからだ。

 

自宅にいる場合に、暑い時に暑い部屋でじっと我慢していると、汗が出てくる

そのままじっとしていると、どこかの毛穴にばい菌が増えて細菌感染を起こすということは多いだろう

それを防ぐためには、自宅で過ごす時には細菌感染予防の方法のひとつとして

さっと水のシャワーを浴びるのはいいだろう。

 

 

入浴時に石鹸を使うこと

 

脱保湿というよりも、これは入浴に関連した話だ。

入院していてかなり皮膚の状態がよくなってきて、

体の表面に白い粉鱗屑がたくさん出てきたような場合には、

入浴時に石鹸を使って体を洗うように指導することがときどきある。

その場合に、体を洗ったあとでかゆみが強くて困る

と言うふうに判断する人もいるけれど、

逆に痒みが非常におさまっていいという経験をしている人もいる。

おそらくは、白い粉のできかたで判断すべきで、もう少しで体から剥がれ落ちる状態なのに、

なんとなくからだの表面に残ってしまっているというような時には、

石鹸を使って軽く洗うとそれらが取れて、痒みが起こらないで楽になるということがあるのだろう

 

 

まとめ

 

脱保湿はとても重要で、ステロイド離脱の基本ではあるけれど、

時と場合によって「脱保湿の原則」から逸脱することはいくつかあり得る

だから、脱保湿からはなにがなんでも絶対に逸脱してはいけない、とはあまり考えないでほしい。

 

ただし、脱保湿として行わなければならない、運動水分摂取制限保湿行為を避ける

といったことは基本的にはずっと行うべきだ。

繰り返しになるが、上述のような特殊な条件では、時に脱保湿の原則を逸脱する必要もあるということ。

このことを十分に理解してほしい。

 

 

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入院患者さんから佐藤先生への質問

 

 

Q. 自宅にいるときにシャワーを浴びるのは、規定回数以外には一日に1回程度だけか。

A. そう思います。

 

Q. 皮膚の表面についた白い粉を石鹸で落とすとは、ごしごしと皮膚をこすってはいけないとは思うが、

タオルに石鹸を泡立ててつけてなでるようして、シャワーで流すというやり方ですよね。

それで、100%ではないにせよ、白い粉をどのくらいの割合で取ればいいのか。

A. 石鹸で洗うのは、白い粉を完全に取ってしまうために行うのではない。

なでるように洗うことで、自然に取れそうな分をちょっとだけ手助けする、

という感じだからね。

 

Q. 入院前に自宅でも足だけは毎日洗っていたが、傷が広がったり、感染症を起こしてしまった。

感染した場合は佐藤先生に診てもらわないとだめだろうか。

A. 万が一の時にに診てもらえる、自宅近くの医師を見つけておくのが一番いい。

 

Q. 傷の広がる場合や細菌感染を起こしている場合はシャワーをやめたほうがいいのだろうか。

A. シャワーがほんとうに悪さをしているのであれば、やめるべきだろう。

だが、今ここではその症状の原因がなにかわからないから、

なんとも答えようがない。

自分で原因を見つけるように考えてほしい。

 

Q. 白い粉の件なのだが、人によって症状は異なるのだろうけれど、

その白い粉が出る期間は平均的にはどのくらいなのだろうか。

A. まず、だいたい離脱の最後の方になった場合のことであって、

入院初期の赤みのあるうちは洗って落としてはいけない

白い粉が出る期間というものは、患者によってさまざまだ。

ある時期にぽんっと白い粉が生じるようになり、それ以降出てこない人もいる。

一方で、じわじわとずっと続く人もいる。

 

Q. 細菌感染の度合いについて尋ねたい。

どういう対応をしていいのか、洗い流すべきか。

膿疱の数がほんの少しでも抗生物質を必ず服用すべきか。

A. 症状を見て、膿疱がどんどん広がっていくかどうか、

で決めないといけないと思う。

ひとつふたつだけ膿疱があり、

あまり広がっていくのではないならば、

それこそ膿疱を潰して残った膿をガーゼなどで吸い取り、

そのあと水道水でさっと流せば、かなりよくはなるだろう。

それよりもずっと膿疱の数が多くどんどん発熱するようであれば

抗生物質を服用しないと治っていかないだろう。

皮膚の表面の方をいじるだけでは、かえって感染を広げる可能性がある。

 

Q. 弱い感染症でも抗生物質を服用すればすぐに治っていく気がする。

けれど、抗生物質は多用しないほうがいいか。

A. なしでいけるなら、もちろん服用しないほうがいい。

抗生物質は耐性菌を作ってしまう確率が増えるから、

出来たら飲まない方がいいとは言える。

 

Q. 膿疱は潰した方がいいか、放置したほうがいいのか。

A. あくまでも膿疱の数が少ないならば、

潰してしまう方が早くよくなるだろうね。

膿があったら痛みも出てくる。

普段でも、男性だと特に、毛穴のあるところに

ちょこちょこと化膿することはあると思う。

そんな場合だったら潰すだけで、

抗生物質を飲まなくてもよくなることはあると思う。

 

Q. 抗生物質を服用するのに、耐性菌を発生させないですむ望ましい期間や周期というものあるのか。

A. それはわからない。

ただし、抗生物質を服用するにあたっていえることはふたつある。

ひとつは、服用期間は短い方がいい

ふたつめは、できるだけきちんと細菌をやっつけてしまう必要がある

その期間は症状や人によって異なるだろう。

病気によってはすぐに服用をやめることができるものはあるが、

皮膚の場合には、意外とだらだらと続くので、

比較的長く服用せねばならないことが多いようだ。

皮膚の表面だけに小さな膿疱がぽつぽつとある症状なら、

短い服用期間でもすぐによくなるようだ。

ところが、じくじくとした部分の面積が広い場合には、治りが悪い印象がある。

抗生物質がその部分に行き渡る程度が低いということなのか、

治りが悪い原因はいまひとつよくわからない。

 

Q. 脱ステロイドの離脱症状は人によって異なるだろうが、リバウンドが再発する理由は。

ステロイドが体内から抜けきれていないからか、自分でステロイドをうまく産出できないからか。

A. 私が持っているデータから判断すると、

外用したステロイドの物質自体は

おおむね一ヶ月で体外から排出されて存在しなくなる。

ところが、ステロイドを外用していたことをその部位が ”記憶している” ようだ

物質自体が存在するかどうかと ”記憶” があるかどうかには

差はないと考えることもできるかもしれない。

「ステロイドを外用していた ”記憶” が皮膚にはある。」

という言い方を私は以前からしていたが、

リバウンドとはその外用していた部位自体で

ステロイドを産出する能力が

どの程度落ちてしまい

それがどれだけの速度で回復していくか

という回復速度の問題なのだと思う。

それは人によって異なる。

 

また、”リバウンドから回復したあとの再悪化 に関しては、

回復後に数年経てばステロイドの産出能力は相当回復しているはずだろうが、

何かの拍子に強烈なストレスを受けた場合に「負けてしまう」のだといえると思う。

すなわち、何かの理由によってステロイドを産出する能力がどーんと落ちてしまう

ということが患者に起きているのだろう。

正確なところはまだわからないけれど、

おそらく考え方としてはそう考えざるを得ないし、

そういう観点で研究していけば答えが出てくるのではないか。

 

リバウンド後の再悪化” についての原因はまだわかりかねるけれど、

少なくとも、”ステロイドを産出する能力” が何かの理由で落ちてしまう可能性は、

離脱後もかなり長期間のあいだ起こり得る、と言うことはできると思う。

さらに、”ステロイドを産出する能力” が

健常者と比べると低いことは報告されている。

脱ステロイド患者は、その能力がさらに

あまり高くないままでいるという可能性もある

 

Q. 自分は生後2ヶ月からステロイドを使い、いまは44歳で脱ステロイドをしている。

たとえば、ステロイドを40年間使い続けてから離脱して、よい状態に戻るという例はたくさんあるのだろうか。

A. たくさんいてるよ。

今、『元気が出る徳子の部屋』というブログを書いている徳子さんも

そのうちのひとりかもしれない。

リバウンドのいちばんひどい時には、

脚なんて普通の倍以上の太さにむくんでいた。

 

👆話題にされて喜ぶ筆者?👆(阪南中央病院で脱保湿を教わる前は、さらにはるかにひどい重傷を2回体験しています。その間、都内のクリニックで出された軟膏をひたすら全身に塗っていましたがよくならず、見るも無残な人間業(笑)?を超えた重傷を繰り返しました。リアル・ゾンビでしたよ(笑)。1回目が一番ひどく、2回目はそれよりは少しまし、3回目の重症の時はそれらよりかなりマシとはいえ、それでもひどい重傷。・・・その3回目で、練馬の藤澤先生のご紹介で阪南に入院し、脱保湿で初めてよくなりました!私でもよくなるのだから、みなさんは絶対大丈夫!)

 

また、今まで診たなかでいちばんひどい患者は、頭と脚を上げてベッドに寝ていて、

夜中になるとお尻のところから浸出液がぽたぽたと床に漏れ出てきていた。

もっとも、私がまだ水分摂取制限ということを重視していなかったころだから、

その人も水分制限が出来ていなかったのかもしれない。

今でも、時々その人は外来で来るけれど、そう調子は悪くはない。

 

Q. 水分摂取制限のことは一般の医師に知られているのだろうか。いつごろから先生はそう指導しているのか。

A. 全然知らんと思うね! 

私自身がはっきりとそれを言い出したのは、

1995年から1996年頃に

名古屋市立大学にいるころだ。

私自身もうすうすそうかもしれないと思っていたところに、

名古屋市立大学病院にいたある看護師さんが

水をたくさん飲む患者さんは治りが悪いですね。」とずばり言ってくれました。

すごい洞察力ですね。

 

Q. それだけ前から脱ステロイド時に水分摂取制限が必要と提唱しているのに、全然広まっていないのか。

A. そうだ。脱ステロイドという考え方自体、

日本皮膚科学会が嫌がって認めていないでしょう。

それと、皮膚科医の多くはあまり全身のことを考えないで診ているから、

このことを知らないのだろう。

 

Q, 脱ステロイドを指導できる医師はどれだけいるのか。

いつも講演会を佐藤先生といっしょにされている先生がた以外にいるのだろうか。

A. ほとんどいないよ。

ただし、一般の皮膚科医のなかにも自分で脱ステロイドの治療をして、

私のところに通っている人もいる。

先日も、オーストラリアの医師から

「脱保湿について情報提供してほしい。」という連絡もあった。

患者の間では、アフリカを除く世界中の患者たちに

『脱保湿』という考え方が少しずつ広まりつつあるようだ

あくまでも、患者たちの間だけではね。

世界の脱保湿に興味を持つ患者さんたちの分布(”元気が出る徳子の部屋”の読者分布地図)です。アフリカの一部の国々と、氷に覆われた国以外、ほぼ世界中の国々で、佐藤先生の治療をやってみたい方々が増えています。日本にいるあなた、それだけでラッキーなんですよ!

 

Q. それでは、ステロイドを使わない治療をする医師はこれから増えていくのだろうか。

A. そうあってほしいね! 

そのためには、あなたがた自身にも情報発信もお願いしたい

 

Q. 脱ステロイド・脱保湿の味方になってくれる医師を増やすには。

A. 脱ステロイド・脱保湿を患者にさせた経験がなく、

どういう状態になるのか知らない医師はたくさんいる

先日も大阪の北の方の病院に勤務している皮膚科医が私のところに見学に来た。

最初は、急性期病棟にいる入院したてで全身から滲出している患者を見て

「こんなにひどいことを!」と言うてたけれど、

その後で回復期病棟にいる症状が落ち着いてきた患者を見て

「へえ、こんなによくなるのですか!」

と感心して帰って行ったから、

今までその医師が思っていたのとは違っていたのだろう。

実際に目で見ないと信用しないみたいだ。

学会発表でも写真ではどうも信用してくれないようだ。

 

Q. 阪南中央病院に入院する前に別の大学病院で

「ここまでひどい状態ではステロイドを使わないと絶対に治らない」

と言われたのだが、退院したら見せつけに行ってやろうかなと思っているけれど。

A. 是非見せに行ってください。

全身から滲出する、落屑するという状態の患者を見たら、

普通の医師は驚いて「死ぬんちゃうか」と思う。

だからすぐにステロイドを塗れという風に言う。

その時に、患者のどういうところを診て、知らないことであっても、

どうすればいいかを覚えていかなくてはいけないのだけれど……

なかなかそういう風にいかない。

確かに、知らない状態から手探りで治療していくのはとても怖いことだし、

日本皮膚科学会のボス連中でもやり方をぜんぜん知らないだろうしね。

 

Q. 食べてはいけない食べ物はあるか。糖質制限についてどう思うか。

A. 甘い物を食べて痒くなった、という例を

私は実際に診たことがないよ。

糖質制限は脱ステロイド・脱保湿には

全く関係ないと思う。

ただし、清涼飲料水を飲んだあとに痒くなる、

ということがあるとすれば、

恐らくそれは防腐剤などのせいだと思う。

清涼飲料水のせいで痒くなる、というならば、

全ての成分を検討しなければ、正しい答えは出てこない

防腐剤は痒みを起こしやすくなるというのはある。

 

Q. 食べ物自体のせいで痒くなることと、血糖値が上がったことで痒くなるのはわからないと思うのだが。

A. 確かに、糖尿病の人は、理由ははっきりわからないが

高血糖だと痒みを起こしやすいようだ。

でも、そうだったら糖尿病の人は

年がら年中ずっと体を掻きまくるということになりかねないが、

そういうことはない。

だから食べ物のせいで痒みが起こるとはあまり考えにくい。

 

Q. 体内でコルチゾール(ステロイドホルモン)を産出しやすくなる食べ物はあるのか。

玄米が効くと聞いたが。そういうものを食べたほうが炎症は起きにくい、などということはあるのか。

A. ステロイドホルモンを体内で産出させるには、

ACTH副腎皮質刺激ホルモン)が必要だが、

それと似たような働きをする食べ物はないのではないか。

そんなのまったくのイカサマや。

 

Q. では、何かを食べればACTHの産出に結びつくというのもありえないのか。

A. 調べたらそういう食べ物はあるかもしれないけれど、

今までそれをまじめに調べたことはない。

ストレスがあると、副腎などからACTHは出やすくなるだろう。

ストレスを受けるとステロイドホルモンを産出することになるが、

そのACTHが出てこないとステロイドホルモンが産出されないからね。

 

ただ、皮膚でどうなっているかということに関してはまだほとんどわかっていない。

ACTHというものが存在するということと、

その刺激によってステロイドホルモンが出てくるということは間違いない。

 

Q. ACTHが出ると皮膚は茶色みがかるのですよね。

A. そういうこと。

それは、ACTHの遺伝子の最初の半分くらいは

「色素を作りなさい」という遺伝子だから。

ACTHが出てくると、その部分だけ皮膚が黒ずんでくる。

湿疹があったら治ってくると湿疹のところだけ茶色くなるでしょう。

もし、脳からACTHが出るのであれば全身が茶色くならないといけない

湿疹があった部位だけが茶色く色素沈着するということは、

その部位だけで反応が起きているということ。

 

Q. 脱ステロイド中は甘草(カンゾウ)は、化学式が似ているから摂取しないようにと聞いたけれど。

ビタミンDはどうなのか。

A. カンゾウについてはそのとおりで、摂取すべきではない

ビタミンDは関係がない。

あの辺りは構造自体みなよく似ていて、ちょこちょこっとちがうくらいだ。

だが働きが異なる。

カンゾウは英語でリコリス(liquoriceまたはlicorice)という。

ステロイドホルモンには二種類あって、

糖質コルチコイドグルココルチコイド、glucocorticoid)と

鉱質コルチコイドミネラルコルチコイド、mineralocorticoid)がある。

カンゾウは後者のミネラルコルチコイドのほうだが、

構造はグルココルチコイドによく似ている。

そして、人体のステロイドホルモンを受け入れる受容体は

糖質も鉱質のどちらも受けるはず。

リコリスを摂取したら、それは

ステロイドで刺激するのと同じと考えていいと思っている。

 

とはいえ、いろいろな商品の内容物にカンゾウと書かれてはいるが、

濃度はとても薄いはずだから、影響はそう大きくないとは思う。

もっとも、漢方薬でカンゾウそのものをたくさん摂取するなら話は別だ。

以前、漢方薬を内服している人の血中ナトリウム濃度が

いつまでも下がらないということがあった。

カンゾウには血中ナトリウム値を高くする働きがある。

そこで、漢方薬をやめてもらったら、

血中ナトリウム値も元に戻ったということはあった。

石鹸に入っている程度なら、濃度はとても薄いから関係ないだろう。

 

                2019.08.09 『とまり木』より

 

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さて、いかがでしたか?

ひとつひとつ知識を重ねることで、あなたも治癒に近づいていきますよ。

大丈夫!必ず、よくなります。

前向きな気持ちを維持して、笑顔で今を乗り切ってくださいね。

 

 

今日も素晴らしい一日を!