‟痒み”ってどんな感覚? - 徳子より、皮膚科医の先生達とアトピッ子のパパママ達へ

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このブログは、アトピーやステロイドの副作用の患者さん

そのご家族だけでなく、世界中(アフリカと中東のいくつかの国々以外全て)の

外国人の患者さんご家族や、

時には(英語版や翻訳バージョンは)海外のお医者さんなども読んで下さっています。

アトピーをなんとか楽にしてあげたい、という鍼灸師の方々や、

ホメオパシーやら漢方やら、いろいろな治療をする側の方々も、

脱保湿という驚異の自然治癒療法に注目して、

このブログを読んでくださっているようです。

 

 

時には、日本の皮膚科の先生たちが、

患者さんや現在の脱ステの流れに触発され、

このブログを読んで下さっているのは注目に値することで、

単なる一患者としては恐れ多いことではありますが、

一人でも多くの医師の方が、

こういった治療もある・・・ということを

視野に入れてくださるきっかけになればうれしく思います

実際に、世界規模でよくなっている方々がいらっしゃるわけですから。

 

 

さて。

皮膚科の優秀な先生たちは、学生時代に膨大な知識を身に着け、

さらにプロとして✨デビュー🌟✨されてからは、日々患者さんの症状を診ながら

さらなる知識と経験を重ねて立派なお医者さんに成長されていきます。

しかし、私たち患者が経験する“痒み”について、

お医者さんたちはどこまで患者の感覚を理解してくださっているのでしょうか?

 

 

こればかりは、どんなに本で学習しても、

完全には理解しきれない部分かと私は思います。

水泳の本を100冊読んでも泳げるようにならないように、

空手の本を200冊読んでも瓦は割れないように、

体験しないとわからない・・・

これが真実ではないでしょうか。

 

 

しかし、私たち患者は、ほとんどが、皮膚科の先生に、

掻かない方がいいですよ。」

掻くから、そうなるんですよ。」

掻かなければいいのに、掻いちゃうんだ・・・。」

・・・と言われ続けています。

 

 

周囲にあれこれ配慮して、

感情を表に出さないようにするタイプの多いアトピーさんたちは、

ついつい自分に負けて掻いてしまう、ダメダメ人間の私・・・。)

我慢が出来ない自分は、心が弱い・・・。)

掻いた後の快感を求めて掻いてる・・・って言われたけど、

弱い私だから、その通りなんだろうな・・・。)

・・・と、自分を責める方向に向かいます

医師も患者も、気付かないケースが多いですが

実は、これは、患者にとって非常に大きなストレスです

 

 

まあ、私は永遠の反抗期?のためか、(笑)

お医者さんに掻くことを責められるたびに、

いやあなたにも我慢できませんよ同じ症状を経験したら。)

と、心の中で笑いながら言い返し続けていましたがね。

(あ、この考え方、アトピーさんにお勧めですよ。😀

あなたは悪いことをしてるわけじゃない。ただ、痒い病気なんです。

未経験でわからない他者をねじ伏せる必要は全くありません。

心の中で思うだけでいいんです。

自分のストレスにしてしまう方が、自分のためにもよくないですからね。)

 

 

さて、かなり以前に、このブログのコメント欄の中で、

脱保湿治療の提唱者である、

阪南中央病院佐藤健二先生

痒みの感覚について、

謙虚に質問してくださったことがあります。

佐藤先生は、私たち患者の痒みを

実際に同じように体験していらっしゃるのではないか、と思われるほど、

心底理解してくださっているのを感じますが、

研究熱心な先生ですから、さらに、さらに、

患者の訴える声に耳を傾け、理解してくださろうという、

とてもありがたい問いかけでした。

 

 

以下にそのやりとりを加筆してお届けします。

そして、このやりとりは、ぜひとも一人でも多くのお医者さんたち、

そしてアトピッ子の親御さんたちやご家族にも見て戴きたい・・・

と、切に願います。

 

   *******************

 

佐藤健二先生の問いかけ

 

ところで痒みについて私が感じていない痒みがもう一つあるようです。

それは非常に痒みの強い人の感覚です。

表現が合っているかどうかわかりませんので、

お読みになった方の追加説明や追加表現を期待します。

その痒みというのは骨の髄から出てくるような

あるいは骨まで掻き取りたいような強い、深いところから出てくる痒み、

のことです。

よろしくお願いいたします。

 

   *******************

 

(僭越ではございますが・・・)

徳子の説明

 

恐れ多くもありがたいお言葉、光栄です。

痒みの表現についてはお任せください!というくらい、

私が自ら説明したくなります。

これだけは、エキスパートと呼んでもらっていいくらいの経験者ですから(笑)。

痒みが強い人・・・というよりも、私たち患者は、

どうにもコントロールし難い

人類にとって(たとえ、どれほどスゴイ修行を積んだとしても!)

我慢の限界を超えるような

そんな恐ろしい痒みに襲われることがあります。

 

その激しい痒みに襲われたときは、

血流がその患部にすごいスピードで集まってくるかのように

ぐわ~~~っと患部が熱くなり、

骨の髄まで内臓までえぐって掻きたいほどの

強烈な痒みを経験します。

もう、骨まで爪を差し込んで、穴が開いてもいいから

その奥底を掻きむしりたい・・・そんな痒みです。

 

 

血が出ることも、皮膚がぐちゃぐちゃになってしまうことも、

或いは掻いた後に皮膚が激痛に襲われたり

当分痛みに苦しみながら傷口が治るまで

その体の部分を使えなくなることも完全にわかっているのですが、

そんな理性が効くようなレベルではありません

どうにもこうにも、もう、一番深いところまで痒いのです。

引きちぎるほど掻かないことには治まらないのです。

 

 

指などにその痒みが襲ったときは、

その指を引きちぎってもいいと思うほどの痒みです。

不思議なことなのですが、痒みは皮膚表面から骨まであるように感じられ、

骨のの向こう側はどういうわけか痒くはありません。

 

 

よく、花粉症の方が、「目玉を取り出して掻きたい。」

というのをお聞きするのと似ている感じもしますが、

とにかく人類に耐えられるレベルではない激烈な痒みを経験し、

その恐ろしい痒みの最中は息もつけないほど痒いのです。

私などはその痒みがくると息がしばらく出来ないです。

引きちぎるほど、えぐるほど掻きむしって、

皮膚の痛みが痒みに勝った時にその痒みは終わります

 

 

ですから、そのコントロール不能な痒みの最中に、

周囲に「掻くんじゃない」と言われても

避けることは不可能なのです。

親御さんがお子さんの手を掻けないように

押さえつけたりするのは拷問ですし、

叱りつけるのは虐待です。

それほどスゴイ痒さなのです。

親御さんも経験されたら絶対に掻くことでしょう(笑)。

蚊にさされた程度の痒みでも、

誰かに掻くのを押さえつけられたらイライラすると思います(笑)。

 

 

痛みのある病気に例えれば、

激痛に苦しんでいる最中に周囲が「痛がるな」と叱っても

それはあまりに無情ですが、

痒みのある病気では、あたかも我慢させることが

正当なことのように思われがちです。

痛い病気、苦しい病気の他に、

痒い病気というカテゴリーもしっかり確立されて、理解されたいものです。

 

 

ですから、佐藤先生のように

「痒い病気だから、掻いてもいい。」というお言葉は、

本当にこの病気を心底理解されているお医者さんなのだということが

患者側からはよくわかります。

私自身も「掻いてもいい」と言われたのは

長いアトピー人生で初めてのことです。

海外の私のブログの読者さん方も、

そのお言葉に打たれた方が莫大な数、いらっしゃいます

 

 

また、私達患者は、たいして痒そうでもないのに

ちょこちょこ指で皮膚を掻いたりしがちですが、

そういう時も、必ず内側からもぞもぞっ・・・と痒みが上がって来ています。

その状態を「癖になって掻いている」という表現をされるお医者さんがほとんどですが、

実際に意識のギリギリのところで痒みがあがってきているので、

体に本来必要のない‘痒み’という‘不快感’を無意識に除去してようとしている行為

ということに周囲が理解を示してくれるとありがたい、

という風に思うことがあります。

掻くことは掻いた後の快感を得るための行為と言う表現をされることがほとんどですが、

必要外に体に起こっている不快感(=痒み)を除去するための行為

と言う方が正解だと私は思っています。

(メンタル面は人それぞれですので、そういう方もゼロではないかとは思いますが。)

 

 

我慢できる痒みは我慢した方がいいのは、

患者が誰よりも身を持って気付いています

(小さなお子さんでも赤ちゃん以外は気付いている気がします。

掻いた後血が出たり痛くなったりするのを繰り返し経験していますから。)

誰しも自分の皮膚を傷つけたくないのは当然ですが、

やはりこのあるべきでない‘不快感’を除去しようとしている行為を

‘悪いこと・間違ったこと’のように批判され続ける患者の思いは、

時々代弁して助けたくなります。

 

 

ですから、先生のおっしゃる最後の一掻きは優しく

とおっしゃるお言葉は名言だと思います。

患者ができる我慢はそれだけなのではないかな・・・

と、コントロール不能な痒みを経験している一患者としてつくづく思います。

 

 

患者の経験する感覚など、いつでもご質問戴ければ喜んで説明させて戴きます。

読者さんからもこのコーナーでご意見をいただければうれしいですね。

 

 

読んでくださりありがとうございました!

 

           徳子Abfab

 

   *******************

 

 

いやはや・・・読み返しても、スゴイですね。

大先生に堂々の痒み論を展開する謙虚さのかけらもない患者。(笑)😆

でも、本当に、

物言えぬ幼い患者さんや、

言えるけれど言えないキャラのアトピー患者さんたちの切ない思いの一翼を担って、

前線で語り続けたいのです。

アトピッ子の親御さんとアトピッ子の不毛な争いが減るだけでも、

患者側の心が救われます。

また、優秀なお医者さんたちの理解が深まることは

さらなる医学の進歩に繋がる・・・と思えば、

トクコ節は止まりません。💦(笑)

 

 

今日も素晴らしい一日を!

 

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👇 続けて以下の2つの記事も是非ご覧ください 👇

 

 

掻いてはいけない、の呪縛?

 

 

 

 

 

 

‟痒み”ってどんな感覚? - 徳子より、皮膚科医の先生達とアトピッ子のパパママ達へ」への6件のフィードバック

  1. 再び失礼します。

    美美ママさんのコメント、大きく大きく頷きました!私も痒みが来るぞ!と危ない時にはすぐに保冷剤です。仕事が終わってほっとした時、暖かい部屋、運動後、食後などは発作的な痒みが来る時なので、患部の鼠蹊部や膝裏、脇の下などタオルハンカチで包んだ保冷剤をがっつり挟みます。私も夏に苦しんで、この方法が一番効果的だと気がつきました。

    今は寒くなってきて悩ましいですが、寝るときは患部に保冷剤、足には湯たんぽ、と何ともチグハグな方法で寝ています。藤沢先生おすすめの”裸で寝る”は浸出液や血液が付着するので無理ですが下着だけで寝るのが今の私に合っているようです。

  2. 徳子さま〜!!!

    なんというタイミングの良さ!
    実は昨晩、睡眠中に激しく掻きむしってしまい、今朝は痛みと痒みで「あ〜あ・・・やっちまったなぁ〜」と凹み気味だったのです。そんな時に、まるで神の言葉のような励ましと癒しに満ちたメールを拝読して、今、心がふんわりと軽くなっているのを感じているところです。

    8月半ばに藤澤先生から「もう通院は卒業していいよ」と言われて大喜びしたのも束の間、自分の不注意のせいもあって、先月、瘡蓋になりつつあるところをずる剥けさせてしまったところ、激しく再発してしまいました。焦るあまりつい気弱になってしまい友達が勧めてくれた軟膏を塗ってしまったら、余計に酷くなり、さらに落ち込む日々。徳子さんのブログを何度も読んで「脱保湿、脱軟膏は鉄板!」と自分に言い聞かせる日々です。
    夏の間は、着物の肌着や襦袢を引っ掛けて場末の売れない女郎のような格好で過ごせたから回復も早かったのではと思うのですが、秋も深まり、朝晩は暖房も必要になるこの時期は悩ましいです。
    ただ、この時期に一つだけ発見できたことがあります。日中に限るのですが、痒くなりそうだ!来るぞ来るぞ!と思ったらすぐにカチカチに凍らせた保冷剤を直接痒くなりそうなところに当てるとその痛いほどの冷たさが痒さに勝って、数分で治ります。
    夏の暑い頃はその冷たさが単に気持ち良いだけでしたが、この寒い季節には冷痛さが痛くなるまで掻きむしるのを制御してくれるのかなと思っています。とはいえ、しばらくするとまた痒くなることもあるので冷痛作戦開始!そんな毎日のせいで冷凍庫は保冷剤だらけです。
    でも睡眠中は徳子さんがおっしゃる通り、理性が効かず、痛くなるまで掻きむしってしまいます。
    それでもいいのね・・・と配信されたメールにとてもとても励まされ、肌のみならず傷ついた心まで癒されました。
    お礼が言いたくてコメントしました。
    どうもありがとうございました。

  3. 佐藤健二先生の質問への私の答えは、もちろんステロイド離脱中つまり③のみで起こる、です。

    長年の使用でステロイドが効かなくなってきた時期の患部は、私の場合英語の”fragile”と言う言葉が一番しっくり来るように感じます。とにかく徳子さんがおっしゃっていたように生肉にセロハン状態、私は親指を除き8本の指が痛くて仕事にならずにケアリーブと言う柔らかいタイプのバンドエイドを指の先端に合わせて上手に貼り重ねるプロでした(笑)。皮膚に良くないことは重々分かっていてもとにかく痛くて生活ができませんでした。

  4. 徳子さん、私たち患者の壮絶な痒みをこんなに詳細に言葉で説明してくださり、いつもながら本当にありがとうございます。徳子さんの経験には遠く及びませんが、私も半世紀に亘りステロイド外用薬を使用し続けてしまったので、脱ステ11ヶ月、脱保湿10ヶ月の現在も全身の各所に広がる離脱症状と闘っています。この夏は気が触れるほどの痒みとの格闘でした。

    でも脱ステ1ヶ月で徳子さんのブログから始まり佐藤先生の著書、NMT healed club、NMT education groupに出会えたことは私の治癒プロセス❤️‍の最大の宝です。どれほど多くのことをこの間に教えられていることでしょう。今は藤澤皮膚科にお世話になっています。

    さて痒みの件でもう一点。痒みにとらわれないで別の楽しいことに心を向けて生活する、という専門家の先生方の言葉に、私は大きな示唆を与えられ助けられています。でも一方で、本当に症状が強い時期にはそんな余裕はひとかけらもなく、何をしていても痒みを忘れるなどと言う程度のものではない、徳子さんの言うように、全ての指を引きちぎるほどの痒み、頭が変になりそうなくらい掻きこわして浸出液と血だらけになって叫ぶしかない時がある、ということも知っていただきたいと思います。これは本当に経験者しか分かち合うことのできない悲痛な経験ですね。ここまでの痒みというのは、薬疹だからこそなのでしょうか。自然に発生する痒みでここまで強烈なものがあるとは思えません。そして佐藤健二先生のどこまでも患者に寄り添う姿勢に心から敬意を表します。「掻いても皮膚は回復する」「最後のひと掻きは優しく」は私のメンタルヘルスを救ってくれました。

    治るには深い谷を通らなければならないけれど、たくさんの経験者の実体験に励まされて、何度も気持ちを立て直しながら、諦めずに脱保湿を続けていきたいと思っています。風呂無しで一年過ごしても大丈夫なんだー!!1年前の私はそんなこと到底信じられませんでしたが、ホントのことでした(笑)。たくさんの貴重な経験をさせていただいています。

  5. 徳子様へ

    痒みを余り感じたことのない人にはへーェ、そんなにひどいものなのでしょうかと分かってもらえそうですね。どころで、質問です。
    骨の髄から出てくる酷い痒みは、①ステロイドを塗る前、②ステロイドを塗っている期間中、③ステロイドあるいは保湿を止めた離脱中のどの時期にも起るのでしょうか、それとも③だけなのでしょうか、お教えください。

    • 佐藤先生

      いつも読んで下さりありがとうございます!光栄です!
      本当に、骨まで、内臓までえぐりたいほどの痒さは、一般の方々には想像しがたいレベルだと思います。

      周囲が思いやりを込めて「掻くのはやめた方がいい。」といってくれる言葉は、生涯どれほどかけられたかわからないほど言われ続けてきましたが、実はストレスになるだけで意味がない・・・ということが、少しずつでも広まって行けばうれしいものです。
      特にお子さんは親御さんに叱られますから、小さな心の声を代弁してあげたくなります。

      さて、この骨まで痒い痒みは、②ステロイドを塗っている期間中、③ステロイドあるいは保湿を止めた離脱中のどちらにも起こります。
      ただ・・・あいにく①のステロイドを塗る前は、私の場合は生後6ヵ月で発症して間もなくからステロイドを処方されていますので記憶にないのです。(;^_^A
      この後、コメント欄にたくさんの方が痒みについて説明してくださったらうれしいですね。

      私に言えますことは、発作的に起きた激しい痒みは、どちらも壮絶どころではない息が出来ないほどの強い痒みですし、使用中、使用後、どちらの方が強いか・・・という部分でも、差がつけられないほど強烈です。

      ただ、たいていの方がそうかと思いますが、ステロイドを止めた後の離脱中の症状は、もともと持っている病気(アトピー、湿疹、etc…)などより遥かにひどくなったりする上に、より広範囲になるケースが多いかと思います。それだけに、集中して襲われる壮絶な痒みという意味では、より辛いものだと思います。その意味では、③の方が辛いと言う方の方が多いのではないでしょうか。

      今日もすでに痒みについてのご相談を海外から何本も受けたりしています。本当に皆さん、辛く切ないと思います。
      痒い病気、というカテゴリーがあること、もっともっと多くの方に知って戴けたら、と切に思います。

      ご質問、ありがとうございました!

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