スゴイですよ!
阪南中央病院(大阪)から、
続々と新しい学習会情報が届いています。
もうこのブログではおなじみのコーナーですが、
『脱保湿治療』で世界でも知られている皮膚科の佐藤健二先生が、
診察を終えた夜遅くに、入院患者のためにちょくちょく学習会を開いてくれます。
その内容が、普段皮膚科の先生と雑談をすることのない一般ピーポーの私たちにとって
本当に役に立つ情報が満載だと大評判なのです。
読んでいくと、治癒の為のヒントがあちこちにありますよ。
こんなお役立ち情報を、
家のソファーに寝転がりながらでも読める私たち・・・
ラッキーだな~、もう~。
それでは、みなさん、
いつものようにご一緒に!
「教えて♪ 佐藤センセイ❤~~~~!」
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佐藤健二先生 談
★脱ステ時の全身との関係★
ー特に(他の)病気を持っているケースについてー
1.ステロイドを使わないのを、積極的にやめた方がいい時は?
①心不全(心臓が弱っていてあまり動かない)の時
まだ私が脱ステロイドの全体をわかっていない頃、初期の話ですが、
脱ステしたいと来た人が、特殊な病気を持っていた。
心不全があるという事をあまり言ってなかったので気付かなかったが、
2~3ヶ月入院していて、ちょっと水を飲んだら直ぐに悪くなる、
ちょっと別の薬を飲んだらすぐに悪くなる、の繰り返しで、
なんで悪くなるのかな?ということで聞いてみると、
心不全があるということがわかった。
心不全があるという事は、血液を出す能力を落としてしまう。
全身浮腫になるという状態になり易いし、
血液を沢山送らないので、組織の中で酸素がちゃんと補充されない(送られない)。
その人は、そんな状態の時に脱ステをしていたということになって、
当然ちょっと変な事をしたらすぐに悪くなって、全然良くならなかった。
もちろん軽度の心不全の場合だったらそんなに問題にはならないが、
そのケースは重度の状態で、そのまま脱ステロイドをしても良くならないとわかったので、
この場合ステロイドを使って自分の皮膚をちょっと助ける、ということで、
ステロイドを使うようにお勧めた。
その方は使用を承諾されて、使ったら一応回復されて退院できたのですが、
結局その後4,5年たって心不全で亡くなられました。
しかし、その方は亡くなる前に知人を通して私に、
ステロイドを使って普通の生活が送れた、と感謝の言葉を送って下さいました。
このような事があるので絶対ステロイドを使わない方がいい、と言わない場合もあります。
②腎不全(老廃物を出せない)の時
その人はアトピーじゃなくてお年寄りで、
肌がよく乾燥するのでステロイドをたくさん塗る
という事を繰り返しておられた。
脱ステしたいと言って来られ、ステロイドを使用したが、
瘡蓋かさぶたができては取れるを繰り返して全然良くならず、
腎臓の機能を見てみると
脱ステしている間に腎臓の機能が悪くなってきている事がわかった。
今の状態が続くと腎臓も皮膚の状態もどちらも回復が見込めないという事で、
ステロイドの使用を勧めた。
その方もステロイドを使用することによりいったん症状が楽になって、
腎臓の機能も少しずつ良くなった。
今だったら腎臓を良くしてから脱ステロイドをするという事も考えられるが、
当時は良くわからなかったので、やったけれどうまくゆかず、
とりあえず脱ステロイドをやめて腎臓も良くなったという事です。
③肝臓疾患の時
肝不全の患者さんの経験がまだ無いので、確かなことがわからない。
赤ちゃんで脱ステ中に強烈な肝障害を起こした子がいた。
ただ、それは飲んでいた抗ヒスタミン剤で肝障害を起こしていたので、
脱ステとは直接関係ないことだった。
④喘息の場合
多くの場合、喘息が悪くなってくると皮疹が悪くなってくる。
恐らく夜寝れないとか、(喘息になると)血液中の酸素濃度が低くなるので
組織に酸素をちゃんと供給できなくなるから
良くならないと考えられる。
非常に重症の場合、喘息を良くする為に
どうしてもステロイドを使わざるを得なくなることもある。
使い方は、塗り薬ではなく飲み薬か点滴での投与になるが、
可能な限り使わないで肺を良くしていった方がいい。
⑤長期にステロイドを内服して副腎不全が起こっている場合
今のところ幸いなことにステロイドをかなり長く内服していたとしても、
止めた後に副腎の機能が回復している。
例は無いが非常に大量且つ長期に投与した場合、
副腎機能が回復せずに脱ステしたら非常に悪化して、
ステロイドの外用をせざるを得なくなるかもしれない。
2.脱ステ最中に突然起こる病気について
①風邪ひき
9割の人はドカッと悪くなる。
1割の人は良くなる。
なんで良くなるのかというと、
考えられることは2つあって、
一つはもの凄くしんどくなって、掻く元気も無くなる。
もう一つは一見よくなる場合で、
熱が出て水が体から外に出て、
きつく水分制限をした状態になり、浸出液が出ず、
良くなったように見える。
同じことは赤ちゃんでも見られ、
栄養状態が悪くなってミルクを飲む元気がなくなる。
あるいは母乳の出が悪い時など、赤ちゃんの体に水とか栄養分が入ってこなくなると、脱水状態になる。
こうなると糜爛面びらんめん(ずるずるの所)があったとしても
そこから浸出液が出にくくなり、
一見良くなったと勘違いすることがある。
②女性の生理
ある一人の女性であった事だが、3~4ヶ月入院しても良くならず、
一旦退院後、外来で生理が無いと話を聞き、まず生理をなんとかしましょうという事で、
ホルモン治療し、生理が再開すると湿疹がすぐに良くなったという事があった。
その逆もあり、一般的には生理の時は肌の状態は悪くなる。それは覚えておいた方がいい。
③貧血
一人暮らしの人によくあるが、食事をちゃんと取れない時、
鉄分(栄養)不足で貧血になり、
酸素を沢山体に送れなくなる。
また、買いに行く元気がなくなりますます悪化する。
こういう場合は鉄剤を飲んで貧血を治すと良くなっていく。
④ヘルペス
ヘルペスには二種類あって一つは帯状ヘルペス、もう一つ多いのは単純ヘルペス。
単純ヘルペスが全身に広がる(カポジ水痘様発疹症)と湿疹も悪くなる。
また、細菌感染が起こると細菌感染の場所もそれ以外の湿疹の場所も悪くなる。
⑤その他の代表的な症状
-体温が上がる
全身が赤くなっている時の体温の上昇(37.5℃まで)は心配いらない。
-アミロイド疥癬
体が黒くなる。
掻いていると表皮のちょっと下にアミロイドがあり真黒く見える。
平べったい場合もあれば、盛り上がっている場合もある。
なかなか治らないが、ある日突然消え始めた人もいる。
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★先生のお話しに関しての Q & A★
(患者さんからの質問と佐藤先生の答え)
Q. 生理がなくなる更年期に入った時悪化するのか?
A. 更年期の人の経験(データ)がないのでわからないが、
ゆっくりと更年期になるので、身体が適応してあまり悪くならないのではないか
Q. 風邪をひいたとき、風邪が治れば湿疹はOKになるか?一時的か?
A. 長い期間は悪化しない
Q. 私は赤みがひいて体温が37.5℃になっていた。それはただの熱か?
A. あなたはまだちょっと赤い。赤いからしょうがない。
Q. 風邪をひいたときに汁がでるのか?
A. 何故かわからないが、出る。
風邪をひかないように頑張って体を鍛える。
Q. 脱ステしていることによって逆に風邪をひきやすくなるのか?
A. 例えば夏の入院中に風邪はあまりひかない。
冬は普通の人でもしょっちゅうひいている。あまり差が無い。
脱ステ中は抵抗力が落ちているかもしれない・・・。
単純ヘルペスと黄色ブドウ球菌にはアトピーの人は元々弱い。
Q. 風邪をひいた時の対策は?
A. おとなしくしているしかない。他の人にうつさない。
Q. 風邪の時マスクは保湿だからしないほうがいい?
A. そんなに長い期間ではないから、
他の人にうつさないために
治るくらいまでしたほうがいい。
Q. 元々心不全ではなくて、脱ステしてから起こった場合が心配。
事前に調べておくことなどしたほうがいいのか?
A. そこまでしなくていい。入院時に簡単なスクリーニングテストはしている。
2019.9.20 『とまり木』より
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それでは、この後、
『脱ステ・超お役立ち情報 - その18』は
パート2!の佐藤先生への ’さらなる’ 質問コーナーに参りますよ~。
見逃さないでくださいね!
👇 クリックしてね 👇
脱ステ・超お役立ち情報 - その18(Q & A コーナー)
分かり易くしていただいて、またぴったりの漫画も楽しいです。ありがとうございます。
佐藤先生
いつも読んで下さり、ありがとうございます。また情報提供も大感謝です。
リモコンを片手にソファーに寝転がって学習しても、あまり頭には入らないものですが(笑)、せっかくの素晴らしい情報ですから、字を読むのが嫌いな方々にも、とにかく一人でも多く読んで戴かなければ意味がないと思い、挿し絵付きの記事にこだわっています(笑)。
知識なしではよくならない、ということを、日本人だけでなく、外国の方にももっと知って戴きたいと思っています。特に外国の方々は、最低限、読んで学習しなければ治らないのだということを自覚してもらわないことには、デタラメなNMTをやって「治らない」ということになってしまい、後に続こうとする患者さんの大きな妨げとなりますので。
いかにして読んでもらうか、私も試行錯誤の毎日です。
これからもよろしくお願いいたします!