アーカイブ | 2017年9月2日

逃げたって、いいんですよ。

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日本人は根性ものが大好きです。

私の世代なら、根性ものと言えば、『巨人の星』、『アタック No. 1』などは

知らない人がいないほどの爆発的大ヒットTV アニメです。

(世代、バレバレですね?)(笑)

 

『巨人の星』の主人公・星 飛雄馬(ほし ひゅうま)は、

野球のスゴイ大選手になるために、

父親から地獄のトレーニングを受けながら育つのですが、

知る人ぞ知る、“大リーグボール養成ギプス” という

筋肉養成のための秘密兵器が自宅にあり、

家ではエキスパンダーのようなその装具を体に付けさせられ、

箸や茶碗を持つのにも筋肉を使わなければ食べられない、

という徹底したトレーニング生活を送ります。

しかも、甘えの見られる飛雄馬に、父親はちゃぶ台をひっくり返して怒ります。

そして、それを影で涙を流しながら見守る姉・・・。

結果、飛雄馬はシャキーン!と足を高々と上げた独特なフォームから放つ、

スゴイボールを投げる大選手へと成長を遂げるのです。

(実は、ちゃぶ台ひっくり返しシーンは、シリーズの中で一度しかないそうなのですが、

そのスゴさは、現代でも語り継がれるほど、世代を超えて有名なシーンですよね。)

 

『アタック No.1』の主人公・鮎原こずえは、

苦しい練習中に体力の限界でヨヨヨ・・・

と、寛一お宮のお宮のように

バレーボールのコート内で倒れるのですが、

それでも鬼コーチはバシバシとボールを打ち続けます。

(も、もう、立てましぇ~~~~ん・・・。)

な状態なのに、

泣きながらボールに立ち向かう鮎原こずえの姿に

日本中が涙し、応援しました。

そして、その大人気アニメを見て、

どれだけの女子が、鼻息荒くバレー部の門を叩いたことでしょう。(笑)

 

そんな、今となっては、お笑いのネタに持って来いの代物を観て、

日本人は真剣に涙を流して感動していました。

それくらい、日本人は根性ものが大好き。

がんばる姿、マジ、リスペクト。

がんばった人だけが成功する・・・そう考える風潮があります。

現代でさえ、他民族と比較しても、日本人は努力をとても美化する国民の気がします。

 

がんばれ

あきらめるな

途中でやめるな

最後までやり通せ

根性

耐え抜け

我慢しろ

歯を食いしばれ

死ぬ気でふんばれ

まだ努力が足りない

(おっと。昨今では、“気合だ、気合だ、気合だ~”・・・も、加えないといけませんね。)

 

こんなアツい言葉で励まされたのでは、身も心ももちましぇ~~~~ん・・・・(笑)なのですが、

日本人には、これらの言葉を言われたことのない人はいないくらい、

当たり前のセリフでもあります。

そして、日本人は、人生はそうやってがんばって

生きて行かなければいけないんだ、

と、マインドコントロール的に信じさせられて、

前向きにがんばって生きてきた人が多いのではないでしょうか。

がんばれないヤツはダメダメ人間・・・

そう考える人たちが多い気がします。

ある意味、現代まで続く、国民的性分かもしれません。

 

がんばること勤勉、を幼い頃から教え込まれて育った日本人は

その副産物として、世界に名だたる素晴らしい製品を作り続けています

戦後の混乱、混沌からここまで這い上がれた国は、世界に類を見ませんし、

この、国民総がんばり屋さんの国だからこそ、

成し遂げている快挙でしょう。

現代の日本人も、“困難に立ち向かい続け、

がんばり続けなければ成功はない

・・・という、西洋的な教育を受けてきていますので、

このがんばり思想は完全に板についているようです。

(寺子屋で教育を受けていた時代は、生活に必要な学問だけを身に付け、

競争ではなく、その子その子に合った適正を見つけて

それぞれにふさわしい方向性を模索し、指導する、

というのが、日本的教育のあり方だったのです。

他者と比較し、競争し、周りを蹴落としてでも努力して

成功の道を上がっていくという思想は

実は西洋の教育が入ってきてからのことになります。)

 

しかし、素晴らしい副産物を生み出す西洋的教育を受けた現代の私たちだからこそ、

教わって来なかった、もうひとつの大切な生き方があります。

 

それは、

逃げる

という解決方法です。

 

“逃げる” と言う言葉には、

日本人は極端に拒絶反応を示すような気がします。

それは、がんばり思想を植えつける教育を徹底的に受けてきたこと

忍耐を美徳とする国民性に起因する気がします。

 

逃げるのは卑怯なこと、

悪いこと

ずるいこと。

逃げるのは敗北、

負け犬のやること、

逃げたらおしまい。

・・・などの相当なマイナスイメージが付いて回ります。

 

しかし、そうなのでしょうか?

 

弱肉強食の食物連鎖の中では、小動物は、命を守るために、

強い動物が来れば、逃げます。

人間界と違って、これは当たり前のことです。

でも、人間だって、時として逃げて自分を守ることが必要なのではないのでしょうか。

 

ウサギはライオンと戦ってはいけない

と私は思うのです。

ライオンに会って、いくら勇敢に虚勢を張ってみたって、

食べられるのがオチです。

別々の場所にいるべきものなのです。

 

ライオンから逃げると、次にトラに会うこともありますが、

ライオンの経験があれば、またひとつ違った対処が出来るようになっているので、

トラのうまい扱い方に気付くことがあります。

敵から逃げたとしても、離れたとしても、

実は少しずつ成長しているものなのです

 

一番大切なのは、ライオンに会っても、トラに会っても、

ウサギのままでいることだと思います。

ウサギのまま逃げればいいのです。

他人に合わせて、自分を抑え過ぎるのではなく、

あなたはあなたが欠点だと思っている

自分のの持って生まれたよいところを生かした方がいいのです。

 

 気が弱いのは欠点でなく、あなたの誇るべき特徴です。

優しいから、相手に対して強気で出ないのです。

他の人にない、愛を持っているのですから、

愛で人から喜ばれる存在になれます。

 

優柔不断のウジウジさんも、

それは欠点ではなく、

慎重丁寧にものごとに取り組めるという長所でもあります。

コツコツやる場面で、あなたの長所はとても重宝されます。

 

臆病も欠点ではありません。

臆病だからこそ、急ぎ過ぎず、きちんとした準備ができるのです。

準備のいい人は、随所で人のお役に立てます。

 

日本人は、逃げる、という選択に、後ろめたさを感じる場合が多いようですが、

体や心が壊れるほど、耐え続けてはいけないのです

 

逃げても、いいんです

 

ほんの10cmよけるだけで、

車にひかれなくて済むこともあります。

ちょっとよけるだけで、全然違う結果になることがあるのです。

逃げるか留まるかの判断はあなた次第ではありますが、

車に体当たりする必要は全くありません

ビルの工事現場から何かが落ちてきたなら、逃げればいいのです。

よけれた自分をラッキーだと思えばいいのです。

 

逃げてください。

よけてください。

さっと背中を向けて、別の方向へ向かってください。

 

ただ、私の言う、“逃げる” というのは、自分(=命)を守るために逃げるのであって、

命を絶つという選択肢は含まれていません。

逃げるあなたは、他者に誇れる素晴らしい特徴を持っているのですから、

したたかに生きて、それを生かさなければいけません。

 

それでも、逃げる、という言葉になんとも違和感があり、

納得いかない方は、

どうぞ、卒業、という言葉を使ってください。

 

あなたにとって、とんでもない相手との修行は、もう終了。

あの人との、あの場所での経験からは、

学ぶことは全て学び、修了しました。

だから、

あの人からは、今日を限りに、卒業します!

そう、高らかに宣言して、自由と安全な場所を満喫して下さい

なぜなら、人は誰しも、

幸せになるためにこの世に生まれてきたのですから。

 

優しいあなたなだけに、がんばり続け、

耐え続けてきてしまったかもしれません。

 でも、いいんですよ。がんばり続けなくても。

あの人と、もう、一切付き合わなくてよくなる・・・

そう思ったらスッキリしませんか?

もしくは、

自分に向かないことを頑張り続けることに、

前向きな卒業をしたら、

胸のすく思いになりませんか?

 

逃げたって、いいんですよ

 

たとえ逃げても、新たな修行は出てくるものです。

新たな修業への変換時を、自分自身で決めるだけなのですから、

許されるのです。

人それぞれ、一旦、羽を休めることが必要な時はあるのです。

逃げるという選択肢を、ぜひ、頭の片隅に置いておいてください。

 

ただし、逃げた時(=卒業した時)に、

ひとつ忘れてはいけないことがあります。

その、とんでもない相手から解放されたということを

心から喜ぶことです。

あるいは、がんばり過ぎをやめて解放されたということから来る、

心の平静を満喫することです。

 

離れたのに、やめたのに、

まだ、ぐちぐち、ぶちぶち、言っているのでは本末転倒です。

サクッと切り替えて、思いっきり喜んで、

平和と安心感を味わってください

(もう、離れたんだから、あの人とは一生付き合わなくていい。)

(もう、やめたんだから、あの苦しいことはもうしなくていい。)

そうイメージして、

さっぱりした気持ちで忘れちゃってください。

ね?スッキリ、いい気分がするでしょう?

いいんですよ、それで。

 

一つの問題から卒業した自分を責める必要はありません

新しいステージで、新たなウサギの冒険を始めてください。

あなたは、そのままのあなたで本当にステキな存在なのですから。

 

今日も素晴らしい一日を!