アトピー性皮膚炎に悩まされているみなさん。
ステロイドをやめたことによる離脱症状(リバウンド)で、
激烈な悪化と戦っているみなさん。
家族や友人がそんな病状であるのを見るにつけ、
やり切れない思いの優しいみなさん。
今日は、そんなみなさんへの
“痒さ” についての徳子の考察とメッセージです。
さて。
患者であるあなたは、一人として洩れることなく
「掻いてはいけない。」
と言われ続けてきましたよね。
親にも、
友達にも、
知人にも。
皮膚科のお医者さんですら
「できるだけ掻かないようにしてください。」
「掻くからそうなっちゃうんですよ。」
「掻いちゃダメですよ。」
そうあなたに言ってきたケースがほとんどでしょう。
掻けば、血が出ます。
時には浸出液が出ます。
時として、えぐるように掻いてしまった皮膚は
見た目も無残な様相を呈します。
そして、とっても痛くなります。
(と言うより、皮膚がぐちゃぐちゃになるほど、痛くなるまで掻いて、
痛みが痒さに勝った時に、初めて痒みが止まりますよね。)
そして傷口となった炎症は、固まるまでにかなりの時間を要してしまいます。
掻かなければ、こんな痛い思いをしなくてよかったのに
掻かなければ、こんなぐちゃぐちゃにならなかったのに
掻かなければ、こんなに時間がかからなかったのに
色々な思いがあなたの脳裏を駆け巡り、
まるであなたは“悪いことをした犯罪者本人”・・・・・。
やってはいけないのに、
“我慢が出来なかった弱い人間”・・・。
そんな思いもよぎり、
敗北感まで感じながら(笑)、
あなたは全身でずっしりと後悔を背負いがちではありませんか?
なんだか体力的にもどっと力を失った気分になることが多いかもしれません。
でも、しょうがないんです。
痒い病気なんです。
周りは掻くな、掻くな、と言うけれど、
人間に我慢できる痒さではないのですから。
あの、内臓までえぐり出したいような、
骨まで掻きむしりたいような、
体の一部を引きちぎってしまいたいような、
そんな激しい痒みは
誰にもコントロールできるものではないのです。
特に、発作のように訪れた激烈な痒さは、
息をすることすら出来ない痒みです。
患者のみなさんは、本当に、よく、耐えていますね。
痛い・苦しい病気よりはまし・・・・かもしれませんが、
激烈な痒さというのも、なかなかの苦痛です。
お気持ち、よ~~~~~~~くわかります。
一方で、親しい家族や友達が、
悪化するのを心配して、
「掻かないで。」
「掻いちゃダメだよ。」
って言ってくれます。
あなたは
(これは、人間には我慢できる痒さじゃないの!)
と心で思いながら、
優しさであるはずの、愛する人たちのアドバイスを、
疎ましく(うとましく)思うこともしばしばでしょう。
だって、無理なんですから。我慢するなんて。
ただ、それはそれで、聞き流してください。
だって相手は、そこまで痒い経験がないのです。
あの激烈な痒さを知らないのです。
虫刺されくらいの経験しかないだけなのです。
でも、悪化させたくなくて、
あなたを助けたくて言ってくれている
・・・・それだけなのです。
無駄なアドバイスだとわかっていても、
「ありがとね 💛」
ただそう言って、受け流してください。
我慢できないんだから、いいんです。
アドバイスされたからと言って、従う必要はありません。
従えないことを気にする必要もありません。
そこは、人生の先輩が、経験のない後輩を
大きな心で理解してあげるのと同じです。
経験豊富な、徳のある側がちょっと引いてあげるのと理屈は一緒。
相手がしたことのない経験をあなたはしているのですから、
経験者、先輩として、(相手が将来同じ病気をする可能性は極めて低くても)
引いてあげてください。
相手が親でも、年長者でも、
痒さに関しては、あなたの方が経験者であり、先輩です。
一番の問題は、
あなたの傷ついた体に対する、
あなたの気持ちです。
自己嫌悪に陥る方が本当に多いようです。
でも、何度も言っているようですが、
仕方ないことなんですよ。
掻いてしまった自分を許してあげてください。
掻いたっていいんです。
“痒い病気”なのです。
痛い病気、苦しい病気があるように、
この病気は痒いのが最大の問題であり、
防ぎようがないのです。
胸に手を当てて、
胸の中のリトルXX(XXにはあなたの名前を入れてくださいね。)に向かって、
「掻いてしまった自分を許します。」
と、声をかけてください。
あるいは、同じように胸に手を当てて、小さい頃の自分に話しかけるように、
「XXちゃん(自分)、掻いてしまってごめんね。
でも、わかるよ。避けられない痒さだったものね。」
と、自分を許して、励ましてあげてください。
自分を責めないでください。
自己嫌悪に陥りがちな方は、是非是非実際にやってみて
傷ついた自身の心と体を癒してあげてくださいね。
誰かが許してくれなければ切ないのに、
誰も認めてくれない。
ならば、自分で自分を許してあげればいいのです。
きっと、温かい気持ちになれますよ。
さて、次に、そういった痒みに苦しめられている患者さんが周りにいると言う、
当事者ではないみなさんへ。
自分のことではないとは言え、
家族などの様に周囲に痒みや皮膚炎に苦しむ患者さんがいるのも
切ないことですよね。
これを読んで下さっている方は、
本当に優しい方だと思います。
ただ、どうか、優しい方だからこそ、
「掻いちゃダメ」とは言わないであげてください。
あなたの「掻いちゃいけない」というアドバイスは
悪化を心配しての愛あるメッセージだ、
と言うことは通じています。
(時として、通じないくらい切なく苦しい極限の痒みもありますが。)
ただ、どんなにありがたくても、
あの痒さは、実は、コントロール不能なのです。
絶対に、人間には我慢できるレベルではないのです。
あなたが同じ症状になったら、あなたも間違いなく同じように掻くことでしょう。
息もつけないほど、激しく掻くでしょう。
周りに止められても、
「止めて下さるな!!!」
と、(う、う、う・・・。)身もだえしながら(笑)、
痛みが痒さに勝る瞬間まで、掻き続けることでしょう。
ですから、「掻くな。」と言ってあげるのは、
患者にとってありがたい励ましでありながら、
実は全く意味のないやりとりになってしまっているのです。
痒い病気なのです。
コントロール出来ない痒み、がこの病気の症状なのです。
掻くなと言ってあげることは、
痛い病気の人に、痛みを感じるな、痛がるな、
と言っているのと変わりないのです。
苦しい病気に人に、苦しむな、と言っていることになるのです。
言われた方は
(そんな・・・・我慢なんて無理。あなただって、絶対我慢できないよ、この病気になったら。)
と、全員が思っています。(笑)
はい、100%、保証します。そうなんです。
仕方のないことだ、と理解し、
目をつぶってあげてください。
本当に不毛なやりとりで、
我慢できないことを我慢しろと言ってあげても、
お互いにストレスなだけなのです。
ほんのちょっとの痒さはコントロールできる時がありますし、
患者はそれなりに我慢しています。
誰だって痛くなるまで、
皮膚がぐちゃぐちゃになるまで
自分の体を痛めつけたくないのです。
だから、必死に我慢することだってあります。
恋愛中のヤングなみなさんなんか、デートの前の日など、
傷つけたくなくて、
死ぬ気で我慢したりもされているでしょう。(笑)
そんな大事な時ですらも(笑)、
我慢出来ない時は、出来ない。
ですから、アドバイスはありがたいけれど、無理なのです。
癖のように搔いているように見える患者も、
実際に痒みが訪れているから掻いているのが、事実です。
癖ではなく、痒みを感じているのです。
掻くのが癖になってる・・・なんて、思わないでください。
掻かないと切ない、すっきりしない(=普通でいられない)病気なのです。
我慢できる範囲は患者なりに我慢しているのです。
虫刺され程度でも、かなり痒い症状の時に
絶対に掻くな、と腕を縛られたなら、あなたもちょっと切なさを感じるはずです。
赤ちゃんに掻かせないように腕を縛ったり、なんてのは、
聞いただけでも、マジ、拷問です。
(そんな可愛そうなこと、絶対しないで!!!!辛過ぎる!!!)
と、気持ちがわかるだけに、身の毛がよだつほどの地獄が思い浮かびますし、
想像しただけでも恐ろし過ぎます。
これこそ、「おまえがなってみろ~~~~~!!!」
と、赤ちゃんに代わって泣きながら訴えたいほどです。(笑)
医学的には、“掻いたことによる快感は何ものにも代えがたいものがあるので、
それを求めて掻いてしまう”・・・・という説があるのも知っていますが、
はっきり言います。
そこまで全員おバカではないのです。(笑)
快感を求めて、自分の体を傷つけたい人など(アブノーマル系を除いて)(笑)、いません。
掻いたことによってすっきりする状態は、
実は、患者ではないみなさんの、
“普通の状態” に過ぎないのです。
普通に戻りたい、という心理、
普通に戻りたい、という体の要求だけです。
痒みによるイライラ、ジリジリした切なさから
救われたいだけなのです。
なぜなら、掻いた後の痛みの切なさも、
誰より患者は、“掻く前から” 知っていますから。
だったら、
どう言ったって避けようのないことなら、
周りはほっといちゃえばいいのです。
もし、相手がむっちゃくちゃ掻いてしまって
その後の痛みと、ぐちゃぐちゃになった皮膚を見て、
何か後悔の言葉でも言ったのなら、
そこで初めてあなたの出番です。
笑えるツッコミでも用意しておいて、
そっちを言ってあげてください。
例えば、お笑い芸人さんのギャグを真似て、
「な~~~~にぃぃぃ~~~???やっつまったな????」
と速攻でツッコミ、餅つきの格好でもしながら
「男は黙って、脱保湿。」
と、したり顔で声をかけるなど、どうでしょう。
あるいは、
「なんて日だ!!!」
と、大げさに嘆いてみてもいいですよ。
「悲しい時~~~~~!痛くなるのがわかっているのに、
むちゃくちゃ掻いてしまった時~。
悲しい時~~~~!肉がえぐれてから、痒くねぇよ、
と強がって意地を張ってしまった時~~~。」
と、横でつぶやくのもいかがでしょう。
・・・ギャグが古くたっていいんです。
なんとなく、(ぷぷっ。)と笑える程度で、
どど~~~~~んと下へ向かった患者の心は、ちょっと降下をやめます。
避けられない症状には、それくらいしか手助けは出来ないのです。
あなたに出来るのは、暗くなりがちな患者のそばにいて、
あなた自身が、明るくしていることだけです。
だって、変わってあげられないのですから。
もうすぐ“春”がやってきますね。
患者にとって痒くて辛い冬の乾燥の季節は今年も過ぎていきます。
そして、今度はムズムズ痒い、春です。(笑)
それが過ぎれば、ギトギト不快な痒い夏です。汗で掻いたりしがちですね。
そして、また訪れる寒い季節・・・。
「いつ終わるんだよ!」
と、小峠ちっくな怒りのツッコミを入れたくなりますが、(笑)
この経験も、きっと意味あってあなたに起こっているのです。
患者の側にも、患者に寄り添う側にも。
どうせなら、何かひとつをつかんで、立ち上がってください。
必ず、何かをつかんでください。
ただでは立ち上がらないくらいの気持ちでいてください。
経験は、生かさなければ意味がありません。
マイナスの経験でも、生かせば、それはプラスに転じます。
プラスになれば、そこに、この経験の意味が自ずと現れます。
きっと、あなたの生まれてきた意味のひとつが、そこにありますよ。
(なんで、私ばっかりがこんな経験するのよ~~~。)
なんて、つぶやいたりしてませんか?
嘆いているだけで、意味を見つけなければ、無駄になるのですよ。
(この経験を生かしてやる!)
と思った人から、意味が見え始めます。
例えば、辛い闘病経験から、
他の病気の方々の気持が理解できるようになったのなら、
それはすでに生きています。
さらに、そういった方々を励まして行けたなら、
あなたはそれを生かしています。
マイナスをプラスに変えた瞬間に、
この経験の意味が見えてきます。
今は辛くても、
必ずよくなる日はやってきますよ。
なんとか、明るく乗り越えてみてくださいね。
今日も素晴らしい一日を!
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