アーカイブ | 2019年6月22日

脱ステ・超お役立ち情報 ― その10

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阪南中央病院皮膚科(大阪)の佐藤健二先生と入院患者さんの

学習会情報がアップデートされましたよ♪

いつも、入院中の患者さんが書記をしてくださるのですが、

今回も佐藤先生の魅惑の大阪弁炸裂バージョンですよー。

(書記さん、グッジョ~~~~ブ!)

先生の味のあるお話しぶりが、読者さんにも伝わることと思います。

 

今回は、保湿について 、

と~~~~ってもためになるお話をしてくださってますよ。

しっかり読み込んでくださいね。

 

では、いつものように、みなさんご一緒に~。

「教えて♪ 佐藤センセ~~~イ~~~~♪」

 

 

**********************

 

ステロイド使った後での保湿の問題と

保湿をすることの一般の問題

 

 

特によくあるのはね、女性は毎日化粧をするでしょ。

おそらく経験しはったと思いますけど、

連休があった場合に外に出て行く機会がないとしたら

化粧をしなくなることがある。

そうすると白い粉を吹く。

化粧を止めるとおかしな事になってくる

それを化粧して保湿すればまた治ることが出来る・・・そう言うのは軽~い保湿依存である訳やね。

だからこないだも話ししたけど、「赤ちゃんの時から保湿をしてアトピーの発生を防ぎましょう。」

というのは良くないということの一つの根拠やと思うんですよ。

 

で、保湿と言うのは全く駄目なのかと言うと、

普段健康な人やったら、別になにもそんな化粧もする事は必要ではないと思うけど、

そらまぁ女性の好みがあるからね、それは仕方のないことやからね。

だからその話しは別にしといて、

アトピーの人にとってその保湿と言うのはええのか悪いのかの話しをすると、

特に赤ちゃんの場合に、生まれた時から連続で塗る必要はないけれども、

肌が乾燥してカサカサになって、ワセリンなんかをさっと塗ってやったら

ピタッと止まることがある

例えばお年寄りなんかでね、皮脂欠乏性湿疹なんかがあります。

膝から下が油があんまり出なくて、物凄く乾燥していてボリボリ掻く・・・と言う病気があるんだけれども、

普通皮膚科の医者は、ステロイドをパッと出すんだけれどもね、

ワセリンぐらい出すだけで、それでもかなりの人が痒みがなくなってしまいます

だから乾燥状態に対しては保湿をする事で痒みが止まるんだったとしたら

それは非常に良い治療法になります

ステロイドなんかを使わんと出来る訳やから、塗って痒みが止まったらそれで止めれば良い訳やからね。

また暫くして痒みが起こってきたらチョッチョッと塗れば良い、と言う、

全く連続でする必要もないし、間欠的やから皮膚の状態もそないにおかしくならない

 

私なんかも実際あの皮脂欠乏性湿疹おこるからね、

こういうふうになったら時々ちょっちょっと塗ると

痒みがポーンと止まって数日間は大丈夫になる。

何日か経ったらまたあかんみたいやけど、それぐらいの経過でやる事だったら

赤ちゃんに関してもそれほど問題にならないと思っているので、

まずはそう言う治療法をするとことが良い治療だと思います。

 

ところが、こっから先はアトピーでステロイドを使った人との関係の話になるんやけども。

私が常に言っているのは、保湿依存症があると言っているけども、

それはアトピー性皮膚炎でステロイドを使った人に対して起こる、と言っている。

一般に、普通の人がごくごく軽いものなどで化粧した場合でも、

軽い依存症やと思うけど、やっぱりね、塗ったら白い粉が出なくなる。

そやけどステロイドを使った後での保湿を止める時も、強烈な離脱症状が出るからね。

やっぱちょっと質の違うものやと思う。

ステロイドを使っている人が保湿をしたらちょっと楽になると言う論文を書いてたから

保湿はいいんだ、と一生懸命(皮膚科学会の)ガイドラインでは言ってるんだけど。

ステロイドを止める時には

保湿を止めないとよくなってはこない

それを忘れたらあかんと言うこと。

 

だから、あるひとりの人間が、ステロイドを使った肌なのか、

それがまったくない肌なのか、と言うことによって

保湿と言うのはいい と言うのと、非常に悪い 言うのと、

物凄く分かれてしまうと言う事がある。

なかなかこれは理解されにくいんだけれども、

それをちゃんとわかった上で治療に進まないと失敗する事がある。

 

入院してよくなった人でも

家に帰って次の年の冬になんかなってくると、

非常に寒くなってカサカサになるので

まぁちょっとぐらい(保湿を)やってもいいかな

と思ってやりだすと、

ドカッと真っ赤になってまた入院せんといかん・・・

となった事がたびたびあります。

だから、しんどいけれど、やっぱり寒い状態でカサカサで痒くても

保湿は出来るだけしないでなんとか別の方法で痒みを減らし

自分の状態を良くすると言う事を考えていかんとあかん、

出来るだけ自分の油が出るような事をせんといかん。

だから運動なんかをして、汗かいたやつを水だけ蒸発さして後は残しておく

というような事をする、などが一つの方法かなと思う。

まぁ、そういうことがあるということを頭に置いて、治療に向かってほしい。

と言う事が今日の私の話しです。

 

 

**********************

 

 

入院患者さんから佐藤先生への質問

 

Q.  冬の保湿の件なんですけど、今の季節なら汗をかきますが、

水に軽く濡らしたタオルで軽く拭いてもいいのか、

それとも乾いたタオルで拭いた方がいいのかがありますか?

A.   それはある程度好みの問題かもしれんな、いや~乾いたタオルやと痛い感じもあるからなぁ。

 

Q.  運動終わった後、ヌルッとしていて汗で痒い時があるんですけど?

あと、走った後に、痛いとかピリピリする事がある。

A.  それは汗の中に保湿成分や塩分があるから、それによる刺激なんかがあると痒くなる。

 

Q.  運動時の服は速乾素材を使用した服の方がいいのか?

A.  そういう速乾素材は、風が無かったらあかんらしいです。

スポーツマンが実際に試合や練習をしている時にかなり動くでしょ?

必ずそうすると風がよく入って蒸発する構造になってるらしいです。

一般の人が何もしない時にそれを着ていると、かなり暑くなるかも知れない。

そうなると綿なんかならずっと湿ったままになるでしょ。

それと同じ状態になるかもしれない。

化学繊維の場合は、いろんな化合物が入ったりして、

それによるかぶれなんかもおこるかもしれない。

確率はそんなに高くはないと思うけど、実際使ってみてどうなのか・・・と思うんですけど。

 

Q.  入浴についてなんですが、入院中はシャワーをさっと浴びて時間は短く、

と指導を受けていますが、退院してから湯船に浸かるのはいつ頃からが良いですかね?

A.  それはやってみて、入っている時間をちゃんと見とけばええだけで、

チャポンと浸かって、スッと出るだけでも相当綺麗になるんやけど。

ただ気持ちよくなろうとしたら長いこと入っとかんといかんけど、

そうするとかなり保湿が続いてる状態になるので

その状態を続けることによって悪くなる事もあり得る。

ただ、それは自分で試していくしかない。

 

Q.  入浴の入るタイミングはあります?

夕食前後がいいのか、朝がいいのか? 夜寝る前が良いのか?

いつが先生はベストだと思います?

A.  それは検討した事がないです。その人の好みかな。

ただ浸出液が出てる時は入らない方がいい。

あるいはそこを濡らさない方がいい。特に子供に関して言える。

 

Q.  自宅では塩素抜きのシャワーヘッドに替えていたのですが、

病院では塩素有りなので痛くてしみると結構思ってたんですが、何か関係あるのですか?

A.  関係ないです。

 

Q.  水分摂取なのですが、入院中は必ず決まった時間に食事も取れて

最後の水分摂取の時間は夕方の6時以降はなるべく控える事が出来てますが、

外泊で一時帰宅した際に、夕食の時間などかなりずれてしまいますので、

先生的には何時ぐらいまでがより安全かな、というのがありますか?

A.  寝る時間に関係していて、寝る時間の4時間前がいいんではないかな、と。

ちゃんと調べた事は無いですか、それぐらいあれば

かなりオシッコの中に出て行く時間があるのかなと思います。

 

Q.  水分制限は一生続けた方がいいんですか?

A.  もちろんそうです。

 

Q.  浸出液が出ている場合は、ガーゼを当てて仮のかさぶたを作る以外の方法はありますか?

A.  ありません。

 

Q.  プロトピック軟膏を使用しているのですが、プロトピックも脱プロトピックが必要になりますか?

A.  必要になります。以前に調べた脱ステの入院期間やけど、

ステロイドとプロトピック軟膏の両者を使用した人の方が治りが遅くなる。

(5日ほど、ただし統計学的には有意差なし。

皮膚の状態を表すLDHに関しては、明らかに遅く、統計学的にも有意差有り。)

それと、プロトピック軟膏の方がステロイドより悪いと私は思います。

治るのが遅くなるという事もあるし、もう一つ発ガン性がやっぱり問題になる。

免疫抑制剤やからね。

腎臓移植した人が免疫を抑える為の飲み薬を塗ってるだけだからね、

強烈なもんやと思うで。

飲んだ場合の皮膚にくる濃度と、直接塗った時の濃度としたら

直接塗る方が恐らく相当高いと思うで。

血液中の濃度は普通の体のステロイド量の百倍ぐらいにはなると思います。

発がんは皮膚癌もあるしリンパ腫も考えられる。

 

Q.   症状のちがいはあります?顔にステロイドを塗ってた人とプロトピックを塗ってた人の。

A.   プロトピックを使用すると赤みが抑えられるが、それでも抑えきれないのはかなりある。

だいたいリンデロンと同じ強さなので、炎症を抑えると言う意味では

ステロイドのランクに入れたら上から3番目の強さになる。

 

Q.   日焼けサロンで日焼けをすると痒みがなくなると思うのですが、当てはまりますか?

A.  すべての人にとって当てはまらないけど、現象としては間違いなくあるね。

アトピーの治療以外では取り入れられています。

ただアトピーの人に関しても、紫外線、特にソラレンとかやると発がんする可能性もある。

 

 

                    2019.06.14『とまり木』より

 

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みなさん、いかがでしたか?

今日も、またまたすっごい学ばせて頂きましたね~。

知ることって、大事です。

たくさん学んで、一日も早くよくなってくださいね。

 

今日も素晴らしい一日を!